
こんにちは、友馬です。
前回は、ざっくりフラットデザインとは何かについて書かせていただきました。
今回から実際にフラットデザインの後に続くデザインアプローチやトレンドなどに焦点を当てたお話に入ります。
※あくまで個人的な見解ですので、あしからず。
インデックスは以下の通り。
マイナスのアプローチの加速
•マイナスのアプローチとは?
ここで言うマイナスのアプローチとは、デザインの要素を減らして行くことを指します。
これを西洋美術史に当てはめると、紀元前芸術から19世紀に入る頃のロマン派や写実主義まで芸術家の興味は「いかに、リアルに美しい芸術を作れるか」に注がれていました。
※こういった流れは、彼らのパトロンや教会がそういった細美な芸術を求めた為など諸説ありますが、詳しいお話はまた別の機会に。
2,000年近く西洋で続いた写実的芸術の流れは、19世紀初頭〜半ば辺りに日本の浮世絵を初めとした東洋芸術と交わる事で徐々に変化し、印象派やアールヌーボーなどが台頭して行きます。
その変化なの中で芸術家達が取った新しい手法が、マイナスのアプローチであると僕は考えています。
最初は、はっきりとした輪郭や質感を減らすことで、これまで表すことのなかった、空気の流れや空間の印象を芸術家達は表現できる、新しいスタイルを確立して行きました。
その後、時代の流れとともにマイナスのアプローチはさらに進み、ミニマリズムやポップアートの様なシンプルでありながら強烈なメッセージを伝えるスタイルが確立され、今日のモダンアートシーンへと文脈を繋いで来たと僕は解釈しています。
・Webデザインでのマイナスアプローチ
Webデザインにおいても、フラットデザインは何処からともなく現れた訳ではありません。西洋芸術の流れの様に新しい物との交りによってデザインの方向性を変える事が可能になり、また環境の変化がマイナスのアプローチを進める要因になったのではと考えられます。
具体的には以下の2点。
- デバイスの変化
- ユーザーの変化
- 技術の革新
デバイスの多様化、ユーザーのITリテラシー向上、さらにHTML5やWebフォント等の新技術の出現により、
これまでのWebデザインの「如何に現実世界を再現出来るか」、例えばボタンはボタンらしく作ると言ったニーズは次第に、
「如何に価値をユーザーに届けられるか」というデザインの根本的な考え方に近付きつつあります。
そういった文脈の中で、様々な装飾要素を減らし、コンテンツにより集中出来る形をフラットデザインの流行は自然な流れのように感じます。
・マイナスのアプローチが加速すると
では、このマイナスのアプローチがさらに進むとデザインはどう変化していくのかを考えてみましょう。
現状のフラットデザインは、シャドウやグラデーション等のエフェクトを取り払い、シンプルかつ計算されたデザインとなっています。
ここからさらにマイナスしていくとなると、「使用するデザイン要素を制限」する手法が考えられます。
そもそもデザインとは、以下8つのエレメント(要素)をプリンシプル(原則)に則ったり、あえて外したりしながら組み立てられています。
- 線
- 形
- フォーム
- 色
- スペース
- バランス
- リズム
- テクスチャ
※それぞれの要素と原則について詳しくは、webクリエイターボックスさんの記事などがわかりやすく、参考になります。
上記の使用するデザイン要素を制限する事とは、例えば以下のようなアプローチとなります。
- ・色はブランドカラーとグレースケールだけ
- ・形は円のみ使用する
- ・コンテンツ以外では文字と線のみ使用
- ・極力文字とスペースのみでくみたてる
・・・かなり根本的なデザイン力が問われるアプローチとなりますね。
特にコントラストやグルーピング、全体的なスペースのバランスを見極める力がデザインのクオリティに大きく影響しそうです。
もちろんWebデザインですので、アクセシビリティとユーザビリティが担保されなければユーザーに価値を届けづらくなるため、非常に難易度が高いデザインアプローチです。
だからこそ、上手く作成できれば他とは一線を画く質の高いスタイルのデザインが出来るのではないでしょうか。
また、作成コスト自体は装飾を沢山加えるデザイン手法よりは安くなるため、数値を分析、ユーザーテストやインタビューを通じてPDCAをまわし易くなる等のメリットが考えられます。
・今回のまとめ
今回は美術史からデザインが派生して独自の発展を遂げてきた史実を元に、今後マイナスアプローチのデザインがどの用な文脈を繋げて行くのか考察して見ました。
今後、IT業界でどんなスタイルが確立されて行くのか、とても楽しみです。
次回はマイナスのアプローチと対象的なプラスのアプローチについて考察して行きます。
お付き合いいただき、ありがとうございました。